美容院に行ってパーマをかけた。カルテを見るとどうやら一年ぶりらしい。私の髪は少なめでクセがなく力もない。ウェーブがすっかりなくなった髪はぺったりと海苔のように頭に張り付き、しかも細面のため、とんでもなく悲しい状態だった。せめて丸顔だったら愛嬌もあるのだが。「トイレの花子さん」を想像してみてほしい。見るからに「頭のかたち」のヘアスタイル。髪だけはまるで中学生なのだ。ただただまっすぐ下へと伸びるのだ。中身だけでなく髪の毛まで素直なのだ。せっかく新年を迎えるのに、家ばっかり掃除している場合ではない(できてないが)。たくさんの親戚に会うのだから華やかなマダムにならなくては。
そんなわけでふんわりと、今風(言い方が古い)に後頭部トップにボリュームをもたせた。なんと見違えたこと。こんな美容院帰りには是非とも誰かとばったり出会いたいものだ。
辛いのは当日限りだという点だ。昔から不器用でブローがまとまらない。特に翌日シャンプー後のブローははなんだか変な流線型になるのだ。店を訪れ、椅子に座り四方山話を進めるうちに聞きにくそうに「今日はここに来ると思って何もしてこなかった?」と言われることも何度かあった。いつもこんな程度のブローだったんだがな、冷や汗だ。
仕上がりに近づくとニイチャンが「この後の予定は?」と聞いてくる。明らかに「家に帰るだけ」の時と「これからママ友たちとお茶」ではブローの念入りさが違う。腕の見せ所なのだろう。自称「カリスマ美容師」だけに作品への思いも強い。プロなのだ。
きれいにしてもらうのはうれしいが、自分の髪でありながら「他人の作品」というのは気を使う。そう言えばニイチャンのプライベートな行動範囲(スーパーや市場など)は私のソレと重なる。もし適当にとかしたままの髪で買い物に出かけて行って出くわしたら、と思うとドキドキだ。「熱が出て」とか「洗い立てで」とか言い訳しようか。
なんて情けない。マダムは家にいてるだけでもきれいに髪を整えておかなくては。いつだって手を抜いてはいけないのだ。