ちょこちょこ本を読む。読んだ本は
友人と交換し合い、戻ってきたらリサイクルなどで処分するのだが、それとは別に大好きな本は大事に本棚にしまっておく。
向田邦子のエッセイは特に繰り返して読む作家の一人だ。
細やかな優しさと、鋭い観察力、それに恐ろしい程の記憶力。何度読んでも新鮮だ。
それに食べ物の描写がたまらなくそそられる。見たことがない料理でも、香りや味が目の前に浮かび、さらには温度までが手や舌に想像できるのだ。もう亡くなって何年も経つのに女性誌で今でも特集を組まれるのだから、心を奪われる人はたくさんいるのだろう。食べるだけでなく作ることも得意だったようで簡単なレシピがエッセイ中にもいくつか披露されている。
中でも「オイルサーデン丼」は我が家の定番だ。ぱぱっとできて、しかもうまいと書かれているが、まさにその通り。
この日はみな出払って人数が少ないので、簡単に2人前作ってみた。缶詰をぱこっとあけたオイルサーデンをフライパンで焼き、しょうゆでじゅっと味付けし、たっぷりのネギをふりかける。あとはほかほかの白ご飯に乗せるだけ。うますぎる。
何人かに伝授したが誰も彼もが「うまい」と喜んでくれた。当たり前だ、天下の向田邦子秘伝のメニューだ。
他にも彼女のエッセイを読んで恋したメニューに名古屋の味噌カツ定食がある。読み返すたびに、どうしても食べたくなる。熱々を頬ばりたい。一体どれくらいおいしいのだろう。期待は膨らむばかりだ。
今年の目標の一つは味噌カツ定食を食うことだ。