・・・・・雑種犬の独白・・・・
新しい美容院を開拓するってのはすご〜く面倒なことらしいワ。
あ、人間の場合ね。
ワタシだったらどこでもいいんだけどぉ。
どんな風になるかもわからないし、
次に伸びるまで失敗ヘアーでも人前にさらしておかないといけないし。
もう最高!って美容師が見つかればいいらしいんだけどネ。
なかなかそうも行かないらしいヨ。
ある程度、ここでいいや♪
ってとこが見つかってずっと通ってるらしいんだけど、
それはそれでまたちょっと困るらしいノ。
一度通い出すと他の所へ行けないんダッテ。
浮気したら後で戻るのが恥ずかしいみたい。
よそへ行ってみるなら
二度と今のトコには帰らないって覚悟がいるらしいワ。
でもそうやって同じトコに通ってると、その客に対して持つイメージってのが固定されるからどうしてもワンパターンな仕上がりになるそうヨ。
頭の形とか、髪質や量とかに左右されるのにね。
もうそれしか似合わないって顔かも知れないのにね。
しかも自分のブローの腕が小学生並みだってのにね、
もっと自分がキレイに見える髪型があるんじゃないかって妄想してるノ。
気に入った髪型にならないのは
美容師サンのウデのせいらしいんダワ。
ワタシみたいにネ、
いろんなアクセで遊んでバリエーションを楽しむってことができないのかしら。
素敵でしょ?耳元のピンクのお花が見えるかしら。
でもネ、ここの飼い主ったら、
いくらシャンプーに行っても代わり映えしないから
あんたは次から行かなくてもイイヨ
なんて言うノヨ。
その上、このお花を
まるで昔の漫才師みたいって笑うのヨ。
先日アクセサリーを買った。
ちょっとお安くなってたので手に入れやすかった。
いくつか買ったうち、一番悩まず一番手軽な値段で一番軽い気持ちで選んだのがコレ。
何色かのパールを細い金でつないでいるネックレス。
白に、かすかな紫、淡いオレンジの3色。
自分でつなげて作るならこの色合いはない。
コレが意外と使える。
なんとなくチャチで浅はかに見えたのだがとんでもない。
つけると上品に顔色も洋服も引き立ててくれる。
ま、本人に品があるから当然とも言えるが
紫はもちろん、ボルドー、茶色、黒はもちろん、淡いピンクにも似合いそう。
ちょっとお出かけにも普段にも使い回しが効く。
こういうのが最も出番が多そうだ。
冷たい物が食べられない。
昔から、虫歯が無いときでも、だ。
知覚過敏ってやつだろう。アイスなんてとんでもない。
アイスキャンディーなんぞ、かんだら冷たい上に「キュッキュッ」と不快な音を立てる。
黒板をツメでガリガリするより耐え難いかもしれない。
なのでランチの最後にシャーベットが出てくると非常に辛く悲しい。
さらに熱いものが食べられない。
猫舌だ。
ほかほかのスープ、焼きたてのグラタンなど大好きなのだがすぐにはとっかかれない。
子供っぽくて恥ずかしいからゆっくり食べるふりをして、平気な顔をしながら密かにハフハフする。
それでもたいがい一口目で舌先がしびれ、半日ほど味がわからなかったりする。
子供が小さいとき食事をさせていた時のことだ。
勝手に自分で口へ運び込もうとする子の姿を見て、一緒にいた実家の母が
「うわぁ!!
ほらほら〜熱いよ〜、あっついよ〜」
と崖から足を踏み外したかのように大騒ぎをした。
それをたまたま一緒にいた気心知れた友人が見て、がぷっ、と吹き出し
「そんな大したことか。これはそんな熱さじゃないよ。」と笑った。
あまりに小馬鹿にした言葉にワタシは目から鱗だった。
タイシタアツサジャナイ?
そうか、これは慣れなんだ!
熱い熱いと騒ぎながら口にすれば「コレは熱い」と覚悟をしてしまう。
放っておけば自分で熱いと判断できるようになるだろう。
ワタシの猫舌は母のせいかも・・・ふと疑惑が湧く。
気づいた時点ではワタシはもちろん、上の子ももう手遅れで熱いモノが恐ろしくなっていた。
なので下の子の時は熱いだのぬるいだの言わずに食べさせた。
予想したより熱けりゃ、自分であちちと思うようにした。
結果、猫舌ではない。
上の子が「あっち〜!」とギャーギャー騒いでても平気で喰っている。
早く気が付けばよかった。
近頃、弁当を作っていると足下でイヌがウロウロする。
何か落ちてこないかと期待しているのだ。
肉の端きれ、野菜の芯など、大歓迎だ。
なんでも疑うことなくぱくっと食いつく。
これは危険だ。
まだ熱いままの卵焼きの端っこなど、がっつり食らいついたら大変。
ついつい恐ろしげな声で
「熱いよ〜熱いよ〜、怖いよ〜」
と、かけ声をかけてしまうので、イヌたちは普段と違う声にかなり警戒しながら口を付ける。
この間、試しに全然熱くないモノをやりながら
「熱いよ〜熱いよ〜」
と、言ってみたらびびってかなり怪しがってすぐには食べなかった。
ワタシのせいだ。
果たして、この服はいつまで着られるのだろうか・・・。
と、思うことがある。
季節や流行のことではなく、年齢のことだ。
デパートで買い物をしていると、時々明らかに若いブランドで服を選ぶかっこいい年配の女性を見かけることがある。
自分流のファッションが確立され、潔いおしゃれがとても似合っている。
意識年齢も若く、思わず白髪に嫉妬するほどだ。
あんな人になれたらいいな、と思う。
逆に流行を敏感に取り入れているのに、こだわるあまりか、それがアダとなって人もいる。
若く見せることがいつのまにか「若づくり」になってしまい痛々しいのだ。
ワタシはどちらだろう。
昔から保守的な出で立ちなので、まず前者ということはありえないが、
それでも「ふ・・・アノ顔でアノ格好はなかろうに、お気の毒にね」などと思われないように注意しなくてはいけない。
そろそろ実年齢というのを自覚しなくては。
近頃テレビでよさげな俳優やモデルを見てもあまり関心がない。
確かに若いときに比べて、区別がつきにくくなったとか、名前が覚えられないというのもあるが・・・。
関心がないというより、自分の対象として見られなくなった。
こんなカレがいたらいいな、というより
こんな子供がいたらいいな、
こんな風に育ってくれたらいいな、
などと思ってしまうのだ。
実際若いアイドルの親の年齢が同じことだってあるし、いや、年下ってことも。
子供を産んだ頃、幼稚園の子から「おばちゃん」と呼ばれショックを受けたことがある。
子供が幼稚園の時、小学生から「おばちゃん」と呼ばれショックを受けたこともある。
考えたら最初にこういうショックを覚えたのは高校生の頃のような気がする。
夏の甲子園だ。
高校野球ってオニイサンがやってるもんだとばかり思ってたのに同世代かよ・・と。
(最近なら、監督が自分より年下ってのもアリ)
今なら、すっかり自らを「おばちゃんがね・・・」と見知らぬ中高生にでも堂々と言える。
どうやら実年齢に精神年齢が追いついて来たようだ。
いや、精神年齢というとまだまだ自信がない。
環境年齢とでも言っておくか。
朝から雨がやまない。
今日こそはいろいろやっつけようと意気込んでいた仕事もついつい順送りだ。
犬たちも天気が悪いと普段にましてよく眠る。
今日も朝からシュナがソファーで寝ている。
家事をしていたら
ウ〜クルルルル・・・・
ハトが鳴くような声で低くうなる声が聞こえると思ったら、シュナだ。
外を見ながらグルルルとのどを震わせている。
一体、どうしたの?
こんな雨の日に何もいないだろう。
と、背中に手をおくとビクッとはねる。
そんなに集中するほどのナニがいるの?
近頃伸び放題に伸びた眉毛(だけではないが)、
じいさん度がかなり高い。
視界が狭くて勘違いしてるんだろうな。
と、思ったら・・・・
これは・・・
ネコ・・・。
きみは誰?
よそのネコがやってくるのはうれしい。
ものすごく得した気分だ。
時々リビングから眺めていると通過するネコと目が合うときがある。
手を振るのだが、当然振り替えしてなどはくれない。
そそくさと早足で行ってしまうのが残念だった。
うちには犬がいるからな・・・。
そう思っていたのに、どこぞのネコが腐りかけた鉢の上にぴったりサイズで丸まっているのだ。
しかもガラス一枚へだてた至近距離からイヌ公がうなっているのに気づきもせず爆睡している。
ぐっすり・・・・ぐっすり・・・・・・・・
し〜っ
見ず知らずのネコに気を使い、シュナを黙らせる。
せっかく雨が当たらないところを見つけたんだから、邪魔したらだめだ。
いっそ今度はネコ用のベッドを置いてやろうか。